経営プロジェクト

戦略的人事マネジメント(Strategic human resource management)
  戦略的人事マネジメント(SHRM:Strategic human resource management)とは、会社が経営計画・目標の達成に向けて、組織・社員を最大限に機能化させるマネジメント・システムです。具体的には、目標管理(MBO:Management by objectives=目標による管理、以下「目標管理」)制度、人事評価・報酬制度、社内マネジメントを連携させることで、組織・社員の活性化を促します。
  当社が提唱する戦略的人事マネジメントの基本思想は以下の通りです。

全社最適主義 会社の理念追求・利潤追求をコアに全社最適の制度設計を行い、業績向上と社員満足度向上の両立を図る。
変化対応主義 変化(環境・成長)に対応できる組織・社員にするために、目標管理・人事評価とマネジメントを一体化させると共に、制度そのものも簡素化して変化対応力を持たせる。
成果行動主義 目標に対する成果とプロセスを評価することで、社員の納得度を高めると共に社員の才能・適性を引き出して活用し成長を促す。

  上記の当社方針内容の理由は、一般的に使用されている目標管理・人事評価・報酬制度は、経営目標達成のための組織・社員活性化の制度設計として多くの問題を抱えており、それを解消する必要があるからです。個別企業の制度によって多少の違いはありますが、以下の共通する問題が人事諸制度には見受けられます。

部署最適もしくは個人最適の目標管理・人事評価になっている。
目標管理・人事評価とマネジメントが一体化していない。
社員の納得・理解不足のため、組織・社員の動機づけに貢献していない。

  又、気合いを入れて作られた分量が多い場合にありがちな、外部環境や社内の変化に対応できない「労多くして功少なし」の制度も考えものです。
  当社では、人事制度だけでなく、経営・マーケティング・営業・マネジメント・教育の領域でご支援をする中で、現場での検証を経て、これらの問題を解決しています。従って、一般に認知されている目標管理・人事評価とはかなり異なる部分がありますが、あくまでも「理に適った」制度設計です。
  全てをここで提示できませんが、当社の特徴的な「理に適った制度設計」を以下に掲載しました。


目標による管理(MBO:Management by objectives)
1.目標の分類
  経営計画に基づいて会社経営がなされる以上、目標管理は経営に不可欠な制度です。会社に目標がありながら、組織・社員に目標がないことはありえません。但し、目標管理の提唱者でもあるピーター・ドラッカーが理想とした「本人の自主性・主体性の発揮」は二の次です。この理想形は、一定の条件が揃わないと機能しません。
  当社が提唱する目標管理では、目標を以下の4つに分類しています。

  分類 定義
戦略目標 会社全体の売上・利益やシェア等、一度決定すると簡単に変更がない、経営計画に直結した目標。
戦術目標 戦略目標を達成するための手段実行目標。状況変化に対応して臨機応変に変更が求められる目標。組織目標。
戦闘目標 戦術を実行するために必要な具体的な組織・個人目標。
問題解決目標 あるべき姿と現状のギャップ(問題)を把握し、原因を特定して解決を図る目標。戦略・戦術・戦闘目標を達成するための、日々のマネジメント=PDCAのCに該当する。組織・社員の問題解決力とマネジメント力が求められる。

  通常、経営目標≒①戦略目標をもとに、②戦術目標が組織に、③戦闘目標が個人にブレイクダウンされ、それぞれPDCAによる④問題解決(目標)が行われます。このとき、①戦略目標達成のために、②戦術目標を具体的な手段(誰が・何を・どの様にして達成するか?)に落とし込み、②戦術目標達成のために、③戦闘目標を具体的な手段(誰が・何を・どの様にして達成するか?)に落とし込んで取り組みます。
  そして、①戦略目標・②戦術目標・③戦闘目標の達成を左右するのが、日々のマネジメントでもある④問題解決目標です。目標管理を機能させるポイントは、組織としての「問題解決力」≒管理者の「問題解決力」です。
  留意すべきは、①戦略目標は簡単には変更されませんが、外内部環境変化によって②戦術目標は期中で臨機応変に変更可能とすべき点です。これを変更せずに進めると、最悪、第一四半期において諦めムーズが漂う部署・社員が発生する一方、第四四半期では手を抜く部署・社員が発生する事もあります。
  経営目標は①戦略目標を達成することであり、一部署が②戦術目標を達成しても、全体として①戦略目標を達成できていなければ、評価は上がらない(役職・地域よって差異がある)仕組みとします。

2.目標の評価配分
  組織のセクショナリズム(自部門の都合や利害を優先し、各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する権限や利害にこだわり、外部からの干渉を排除しようとする排他的傾向)を排除して、全体最適の目標管理にする上で、この「目標の評価配分」はとても重要な機能を果たしています。
  まず、各部門長の役割の定義が重要です。例えば、製造部長の役割は「製造部門をまとめること」とするか、それとも「製造部門の長として、会社業績に責任を持つ」とするか、の違いです。通常、前者のケースが多いのですが、この場合、目標項目は製造部門内の目標に限られ、自部門=製造部門優先となります。しかし、当社では、後者の立場を取り、部門長の会社業績に対する目標評価配分は50~80%を推奨しています。なぜなら、そうしないと、会社全体の業績に責任を負うのが経営者のみになってしまうからです。経営者のみ会社全体の業績に向かい、他の部門長は自部門のことのみに専念していては、会社最適には程遠いといえます。
  次に、ライン部門(経理部・人事部等)とスタッフ部門(製造部・営業部等)の関係です。ライン部門の目標は比較的数値化しやすいのに対し、スタッフ部門の目標設定は難しいものです。ここでも、スタッフ部門の役割の定義が重要となります。当社では、スタッフ部門は、ライン部門の業績向上をサポートする位置づけとしています。従って、スタッフ部門の目標のうち、30~50%は会社業績=戦略目標を当てます。こうすると、スタッフ部門は会社業績に対する意識が高くなり、どの様にすれば会社業績に貢献できるかを考えるようになります。少なくとも、与えられた事務作業をするだけでは評価は上がりませんし、業績が苦戦しているとき、スタッフ部門のみ評価が高くなることはなくなります。
  尚、「業績が悪ければ賞与原資がへるわけだから、スタッフ部門に業績評価は必要ないのでは?」という声もあります。しかし、スタッフ部門の役割を考えると、“業績は他人事”の姿勢では、会社としての一体感は醸成されません。目に見える形で、業績目標を設定することで、会社業績向上への意識が向くようにすることを推奨します。

3.定量目標と定性目標
  目標は、数値化できる定量目標と、数値化できない定性目標に分けられます。そして、数値化できない定性目標については、一般的に「できるだけ定量化する」ことが推奨されています。その目的は、目標達成の判断基準をわかりやすくすることです。つまり、定性目標を定量目標化(数値化)することは、目標管理による成果をわかりやすく評価するための「手段」である、ということです。従って、定性目標を無理矢理定量目標に置き換えようとした場合、数値化しやすい部分だけを抜き出して定量目標としてしまい、「定性目標の目的≠定量化した目標の目的」となってしまいがちです。そうすると、定量目標を達成しても定性目目標の目的が達成できないばかりか、定量化されていない定性的行動(例えば協力的行動)が行われなくなる弊害が発生します。
  当社では、定性目標は「達成目標」「状態目標」「行動目標」のいずれか適するもので目標設定し、定性目標の中で定量化できるものは定性目標指標として設定することを推奨しています。

4.目標そのものの評価・・・貢献度評価
  目標そのものは、「難易度」という物差しで評価されているケースが多いようです。しかし、この難易度というのは判断が難しく、「いかに簡単な目標を難しく見せるか」という行動に人を掻き立てます。そこで当社は、難易度だけでなく、「貢献度」という物差しで目標そのものを評価し、5~7段階評価を推奨しています。貢献度とは、まさしく会社に対する貢献度合いであり、目標設定時だけでなく、結果に対して最終的に評価を下します。この貢献度評価の導入により、難しい目標設定をする社員が損をすることがなくなり、チャレンジングな組織風土を醸成することが可能となります。例えば、「貢献度評価1:自分の仕事の範囲の目標」~「貢献度評価7:会社業績の飛躍的かつ継続的な向上に大きな貢献を果たした」までの幅を設けます。評価時には、目標達成度によって4~5段階評価されます。この仕組みであれば、「一攫千金」「大逆転」的なことも可能となることから、社員の意識がガラリと変わります。例えば、営業社員評価の場合、一定以上目標達成してもリターンが変わらない仕組み(例:110%以上はS評価・・・等)が意外と多くあります。その場合、営業社員は110%を越える部分を、来期に回そうとする行動になりがちですが、それを排除することが可能となります。スタッフ部門であれば、全社的に大幅なコスト削減した場合など、貢献度評価は高くなります。

5.評価対象期間
  半年・1年という区切り通りではなく、年度を超えて取り組むべき重要な目標もあります。又、行動に対して結果が出てくるまでにタイムラグが発生する仕事もあります。これらに対処しておかないと、組織・社員は短期的に目に見える定量目標に終始し、本来着手すべき目標を掲げなくなってしまいます。これらを解消するために、
  ①半期・1年を超える目標の場合、区切り毎にプロセス目標を設定する。
  ②目標達成の成果については、(合議の上)評価対象期間を延長する。
  という仕組みを推奨しています。

6.目標設定の主体と運用法
  目標設定は、経営計画からブレイクダウンして作成し、トップダウンで行うのが基本です。従って、基本は上司が部下の目標を設定し、部下と意思統一を図ります。間違っても、未熟な社員に一任しないようにします。社員の質が高まってくると、ボトムアップによる目標統合が可能となります。その場合、まず上司から部署目標を明示した上で、部下同士の話し合いによって目標案を作成し、上司との話し合いで目標統合します。
  目標は、「責任者(Who)が、何(What)を、いつまで・どの期間(When)に、どれだけ(How many)達成する」で設定します。「メンバー・協力者(Who)、どの様に(How)」については、目標設定後の具体的実行計画の段階で作成します。目標設定時に「どの様に(How)達成するか?」を作成しても構いませんが、状況によって戦術は変わりますので、その方法にこだわらない=達成方法は評価対象としません。
  運用に当たっては、



人事評価
  目標管理が成果主義であるのに対し、人事評価はプロセス管理の位置づけになります。そして、能力評価ではなく、行動・実績評価を推奨します。能力評価の弊害は、「能力を高めれば給与が増える」という思考を社員に浸透させてしまうことです。しかし、能力向上=業績向上ではありませんし、能力向上だけでは給与・賞与原資は増えません。本来、社員の能力とは相対的なものであり、可能であれば他社社員の能力との比較にすべきものなのです。(実際には不可能ですが・・・)又、能力は成果・業績に結びつけてこそ価値が生まれます。成果を生まない能力向上は、マネジメント上のフィードバックや賞賛で報いれば良いのです。
  以上から、当社では「成果主義」「行動・成果評価」を基軸として、人事評価制度構築をご支援しています。目標管理と同様、日々のマネジメントと連携を図ることで、組織は活力化し、社員の成長を促すことが可能となります。